女神たちの出産体験座談会

出産体験

『女神たちのタペストリー~あなたの出産体験おしえてください~』

 

今回は、お友達同士の二人の女神が、同時にインタビューに協力してくださいました!

めったにこんなことないので、座談会風に、一緒に語っていただきました。

 

EさんもFさんも、二人の子どものお母さんです。

お二人とも、第一子の出産について、心残りや、残念な思いがありました。

 

そして、「出産体験を語ることで、自分の中でどんな思いがするのかな」と興味を持ち、応募してくださいました。

 

お産の時の、痛みや不安。

そこに伴走する人の存在が、いかに大事か教えていただきました。

 

********************************************************************************

目次

 <Eさんの出産体験>

   白い光が入ってきた

   不運がかさなった第一子の出産

   意を決して気持ちを伝えた第二子の出産

 

Fさんの出産体験>

  未消化だった第一子の出産

  ソフロロジーでの第二子の出産

 

<産後の「○○べき」「○○のはず」の呪縛>

 

********************************************************************************

目次

Eさんの出産体験

白い光が入ってきた

 Eさんは、もともと子どもが苦手だったので、子どもが欲しいとは思っていなかった。友人が出産し、赤ちゃんを見に行ったことで、「子どもがいたら、面白いかな。私の人生もまた変わるかな」と感じた。

子どもが欲しいと思い始めてしばらくしたある夜。夫の隣で寝ていた時、ふと白い光が、Eさんの中にはいってきた。この時、まだ妊娠していなかったが、「来たな」と直観した。その後、「これは絶対できるな」と確信のもと、妊娠した。

 

不運がかさなった第一子の出産

妊娠中は、助産師の友人から、出産に良いイメージを持てるようにと、ソフロロジーのCDを借りたり、マタニティヨガを教えてもらったりした。

 予測のつかない、新しいことが苦手なEさんは、出産という未知の体験に不安を感じ、ネットで色んな出産体験を読んではあれこれ想像していた。

 

 出産前に、Eさんは実家に里帰りしていた。予定日から一週間すぎた朝、破水からはじまった。病院へ行き、入院になる。

しかし、その日の夜は、まったく陣痛がつかない。全然痛くなくて、「どうしよう」と焦った。夫に、お灸を買ってきてもらって、陣痛のつくツボにお灸してみたり、陣痛が付きやすいとされているクラリセージのアロマオイルを嗅いだりするも、「ちっとも痛くなくて」陣痛がはじまらない。

面会時間が夜8時までなので、付き添っていた夫は帰るように言われた。「夫に居てもらわないと不安なのに」と思いながらも、その気持ちを病院に伝えられなかった。

夜中に、感染症を防ぐための点滴がはじまった。ドキドキして眠れないし、一人で不安で、深夜にクラリセージを嗅ぎながら、スクワットをしていた。

やっと定期的な陣痛がきて、5分間隔になったところで、助産師さんを呼んだ。Eさんは、痛みにとても強い。助産師さんは、Eさんの様子から、まだまだと判断したようで、「もうちょっと痛くなったら呼んでね」という言葉を残して退室した。

「え~、でもこれ、十分痛いやつやと思うねんけどな」と思った。

3分間隔になり、強い陣痛が来ていたが、助産師さんを呼んでもいいのか、いつ呼んだらいいのか、質問してもいいのか、わからなくなった。

しばらくしてEさんが、「私的には限界なんですけど…」と伝えたら、助産師さんは「一応用意しておこうか」と、のんびりと出産の準備をはじめた。LDR(陣痛、出産、回復まで同じお部屋で過ごせる部屋)に移動したときには、陣痛のピークは超えてしまった。

「これ、出る感じやねんけどな…」と思ったが、初めてだし、本当に出そうなのか自信がない。担当してくれた助産師さんから、その場での出産の経過について説明がなかったので、わからなかった。

 自分なりに学んだ呼吸法でいきみを逃していた。「なんせ痛みに強いから、そんなにしんどそうには見えないんですね」。担当助産師さんとは、呼吸法のアドバイスをしてくれるでもなく、腰をさすってくれるでもなく、信頼関係が築けないまま、進行していった。

 いきみを逃すのに疲れ果て、陣痛の合間に気を失うように眠っていた。朝方になり、ようやくお医者さんが来た。てっきり、いつも検診で診てくれている院長が来てくれると思っていたが、登場したのは知らない先生で、「この人、誰??」と戸惑う。

 お医者さんは、「赤ちゃんがしんどそうなので、吸引します」と、会陰を切開して、吸引してもらい、ようやく出産した。

 「不安感と、不信感でいっぱいな状態。ちゃんと産んであげられなかったっていう感じ。疲れたし、もうなんでもいい、何なんだこの人たち、みないな。」

 カンガルーケアで、わが子を胸に乗せてもらうも、感動や喜びは感じず、「冷静な感じでいる自分、感動していない自分も、あかんような気がして」。

 赤ちゃんを、自然に抱きしめたり、おっぱいを吸わせたりすることができず、「どうしたらいいのか、指示してっていう感じでした」。

産後の入院中、会陰は痛いし、赤ちゃんがかわいいのかよくわからないし、面会に来た親族がなかなか帰ってくれないしで、「踏んだり蹴ったりやなー」と思っていた。

 

意を決して気持ちを伝えた、第二子の出産

第二子の出産も、同じ病院を選んだ。病院自体の評判はよかったし、実家から行ける産婦人科はその病院だけだったからだ。

 予定日を過ぎると、出てこないことが精神的につらくなってきて「毎日ボロボロ泣いていました」。検診の時に、泣きながら先生に陣痛促進剤を打ってほしいとお願いをした。自然分娩を推奨しているクリニックだったが、Eさんの様子を見て、促進剤を使うことにしてくれた。

 促進剤の点滴のあと、人工破膜をすると、急激に陣痛が来た。

3分おきの陣痛がきたが、痛そうじゃないEさんの様子に、またも助産師さんが内診することなく退室する。「これはやばい」と思っていた。

ちょうど助産師さんが勤務交代する時間となった。次に来てくれた助産師さんに、意を決して自分の思いを伝えたら、ちゃんとキャッチしてくれる助産師さんだったので、内診してくれて、「すぐにLDRに行こう」と連れて行ってくれた。「よかった~と思って。意を決して言わなかったら、またタイミングを逃すところでした」。

 LDRに入室後、赤ちゃんはするっと出てきた。

今度は落ち着いていたので、「生まれてきたね、頑張ったね~」と赤ちゃんに声をかけることができて、よかった。赤ちゃんの手をそっと握り、ほほえましく迎えることができた。

 出産した日の夜、陣痛のようなお腹の痛みを感じた。「う~っ」と叫んでいたら、助産師さんが来てくれて、内診してもらった。すると、膣に血腫ができおり、緊急手術となった。

 ちょうど、お医者さんも手術に対応できるタイミングだったので、半身麻酔をして手術を受けた。手術を受けた場所で、朝まで過ごした。おっぱいをあげることができなかったので、新生児室から、わが子の泣き声が聞こえてくると、「あ~泣いているわ、ごめんね」と思っていた。

 産後の経過としては、第二子の時は大変だったが、Eさんはコミュニケーションのとれる助産師さんでよかった、担当があの助産師さんであったことに救われた、と感じている。

 

Fさんの出産体験

未消化だった第一子の出産

Fさんも、二人のお子さんのお母さんだ。Fさんは、もともと生理周期が40~50日と人より長いため、妊娠しにくい体質であった。

 結婚したあと、以前からかかっていた婦人科の先生から、「妊娠したいのであれば、排卵を整えるか?」ときかれた。それで、排卵誘発剤を飲み、タイミング法で妊活が始まった。

 すると、すごく子どもが欲しいわけでもなかったのに、2~3か月目で「作らなきゃ!」と気持ちが追い込まれるようになった。仕事が忙しく、仕事の合間をぬって、病院を受診するという生活のストレスも加わった。ストレスで「これはやばいわ、さっさと治療をステップアップした方がいいんじゃないか」と思っていた時に、妊娠した。

 産前休暇の直前まで、忙しく働いていた。産休にはいってから、自宅の引っ越しをして、その後に実家に帰った。

 そして、夜中に「バシャ―ン」と豪快な破水からはじまった。Fさんは、落ち着いて冷静に病院まで行って、入院となる。その時、なんとなく陣痛らしき波はあった。

 翌朝、診察してもらったところ、子宮口は開いてなかった。先生の指示で、病院を歩き回る。陣痛はあるのだけれど、子宮口が開いてこなかった。

 その日の夕方の診察で、先生から「破水してから72時間は待てるから、大丈夫」と言われた。しかし、その後しばらくして「やっぱり明日促進剤を打ちましょう、今日は寝ましょう」と言われた。この時、Fさんは「72時間待てるんじゃなかったの?」と、疑問がよぎったが、そういうものなのかもしれない、と質問をすることはなかった。後から考えると、72時間待つと、出産が休日にかかってしまうから、平日のうちに出産を終えてしまおうという病院側の事情があったのかもしれない。

 ともあれ、その日の夜は、眠るために、麻酔を打ってもらった。(Fさんは、使える薬剤に制限がある。)その麻酔が、まったく効かず、寝ることができなかった。しかし、副作用の吐き気だけはしっかりあって、お腹の痛みと吐き気に耐えながら翌朝を迎えた。

 早朝に陣痛促進剤の点滴が始まった。点滴から約1時間後、陣痛促進剤が効き始めた。

「ゼロ、マックス、ゼロ、マックスっていう、促進剤に特徴的な、人工的な陣痛がきて、ドーンドーンって。」しかし、子宮口はなかなか開かない。分娩監視装置を、お腹にずっとつけているので、楽な体勢になることもできず、ひたすら痛みに耐えた。

 病院内では、お産がかさなっていたため、なかなか助産師さんが来てくれない。

 「お願いだから、助産師さんを呼んで」と頼み、来てもらったはいいが、「あと1時間経ったら、分娩室に連れて行ってあげる」と言われた。

「あと1時間か、うわ~って」。この陣痛に耐えている時間が、「痛い、助産師さん呼んで、のループで、情けないのなんのって。」Fさんにとって、第一子の出産は、この時間が「痛みに負けた情けない体験」として印象に残っている。

 1時間が経ち、分娩室に行った。その病院には、分娩介助をするドゥーラがおり、そこからはドゥーラの指示に従って、無事に出産を終えた。

 

ソフロロジーでの第二子の出産

第一子の出産をふまえて、第二子の出産は、「冷静に、きちんと産みたい」という思いがあった。第二子の出産は、里帰りをせず、自宅に近い産院で産むことにした。そこはソフロロジー(リラックスを促し、前向きな気持ちで出産の臨めるようにする方法)を取り入れている病院だった。そこで、臨月になったら、ソフロロジーの指導を受けられるので、早く臨月になりたかった。

 ソフロロジーの教室で、出産についての様々な情報を教えてもらうことができ、実際に産むことになるLDRのお部屋に入り、いきむ練習もさせてもらうことができた。事前に、帝王切開についてなど、出産の際のリスクも含めた知識を教えてもらったことは、とてもよかった。

 第二子のお産は、予定日の夜に、破水から始まった。診察してもらい、「経産婦だから翌日の朝には生まれるだろう」と、助産師さんに言われた。

 その時点では、全然陣痛がなかったので、一旦病室に戻って、シャワー浴をしてから寝ようとした。布団に入ってリラックスしたとたん、急にお産が進んで、「ズドーンって」大きい陣痛がきた。

 再びLDRに戻ったのだが、「自然な陣痛って、痛みの合間はこんなに楽なのねって思いました」。徐々に強まり、徐々に去っていく自然な陣痛を、体感した。陣痛の合間には、記念写真のためのお化粧をしたり、アロマオイルを選んだりする余裕があった。

 お産が急に進んだため、子宮口がむくみだした。助産師さんが、子宮口を広げている間は、いきんではいけないので、「ん~、はー!!」と痛みをのがす。

 ソフロロジーの指導を受けた人の特典で、バースプランとして希望を色々出すことができた。頭がでてきたら、触らせてほしいと希望していたので、それをさせてもらえた。

 第二子は、身体が大きめだったので、肩がひっかかっって、出てくるまでが大変だった。しかし、助産師さんとともに、冷静に言葉にしながら、出産までのプロセスを通過したので、第一子の時のような未消化な感じがなく、「なんとも思っていない」。

 

EさんとFさんは、「不安なことや、質問したいときに、ちゃんと応えてくれる人がいることが大事」、「誰がそこにいるかが大事だよね」と、そろえて言う。

 

産後の「○○べき」「○○のはず」の呪縛

また、EさんとFさんに共通する体験として、第一子の子育てでは、「○○するべき」、「○○のはず」という、様々な呪縛に苦しめられたということがある。

 お二人とも、妊娠中から、母乳育児を推奨する本、ブログをよく読んでいた。そのため、産後の入院中から、「夜中でも、しんどくても授乳」、「泣いたらとりあえずおっぱい」。しかし、最初のうちは上手にあげることができず、大変な思いをしていた。

 Eさんの第一子は、ベビーカーやお布団に置くと、すぐに泣く子だった。そのため、ずーっとだっこをしていた。夜も、だっこをしたまま壁にもたれかかって眠っていた。

Fさんは、出産後の実家にて、仕事をしている両親の睡眠の妨げになってはいけないので、「泣かせてはいけない」と気を遣っていた。

お互いの体験を聴き、「ほんっとうに、一人目の時は、いろんな呪縛があったよね~。」「呪縛にがんじがらめになっていた」とうなづきあう。

「完全母乳でなくてはならない。」

「泣かせてはいけない。」

「もうちょっとがんばったら、育児本のように、うまくいくはず。こうなるはず」。

「お金を使ってはいけない。」

 

しかし、子どもの成長や、育児の経験を重ねることにより、呪縛から解き放たれていった。今も、お二人それぞれに子どもとの関係で悩むことはあるが、その経験を人生の糧にして、時間を重ねていくであろうお二人の道に、首を垂れる思いで、インタビューを終了した。

出産体験

 

インタビューに協力してくださる方、募集しています!

私、臨床心理士の藤澤真莉が、出産体験を聴くのが好きだから・・・という理由で、

さまざまな女性にインタビューをしています。

医療的なお産の経過だけではなくて、その体験を通して、またその後の子育てを通して、

何を感じ、考えたのか、それが人生にどのような影響を与えたのか、にスポットを当てています。

あなたの人生の、たて糸と横糸が織りなすタペストリー。それがどんな模様なのか、私と一緒に紡ぎませんか。

くわしくはこちら

心理カウンセリングについて

産前・産後の女性専門の心理カウンセラー・臨床心理士の個人カウンセリングです。

周産期のメンタルヘルスに関するご相談は、

高槻市から交通機関で2時間以内に行ける場所であれば、出張カウンセリングが可能です。

遠方の方は、テレビ電話で、カウンセリングをしています。

詳しくはこちら

2019年1月の夫婦づくりセミナー

『産後クライシスをのりこえる!夫婦づくりワークショップ』

産後クライシスでお悩みの女性、カップルにぜひ来てほしい。

持続して、愛情や信頼を深めるパートナーシップについて、熱くお伝えします!

JRさくら夙川駅からすぐの場所にあるサロン、櫻扇さんで開催です。

ステキすぎるドゥーラさんが運営していて、いろいろなママ向け講座をされています。

<概要>

日時:2019年1月25日(金) 13:00~15:30

場所:櫻扇(さくらおうぎ) 兵庫県西宮市神楽町11-20 イースト夙川105号

料金:\3,000

お申込み:お申込みフォームから、『1月25日夫婦づくりワークショップ』参加希望と、ご記入ください。氏名、電話番号、メールアドレス、お子様同伴かどうか、もご記入ください。追って、メールでご返信します。

*お子様連れ、OK。テキストに記入するワークがありますので、集中して取り組みたい方は、お子様をお預けされることをおすすめします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪

ふじさわマターナルカウンセリングルーム

藤澤 真莉

 

 

 

 

 

目次