「命より大事なものはない」Hさんの大満足な出産体験記

赤ちゃんがかわいい
目次

女神たちのタペストリー~あなたの出産体験おしえてください~

色々な女性に、出産体験をインタビューしているこの企画。

今回の女神Hさんは、とっても軽やかでアクティブな女性です。

「出産体験を語るのが大好きだから」と、応募してくださり、

遠方から新幹線で、ピュ~っと春風のように、大阪までインタビューに来てくださいました。

Hさんの語りは、“生命礼賛!”という感じがぴったりで、産みだす喜びと命への愛があふれていました。

そして、Hさんは二人のお子さんを育てながら、専門的なお仕事をしています。

出産と子育てを機に、女性であり、母であり、職業人であり、といった色々な要素のあるHさんの生き方が、「命」という点で集約されて繋がり、「子どもの命を大切にする社会」の実現にむけて、活動されています。

満足のいくお産を叶えるためには、どうしたらいいのか、知りたい方。

自分の個性を発揮しながら、楽しくお仕事をしたい方。

ぜひ、Hさんのタペストリーをお読みください。きっと、ヒントになることがあると思います。

【Hさん、30代女性】

長女の出産:入念な準備で叶えた安産

 Hさんは、結婚当初から子どもを産みたい、3人は欲しい、と思っていた。

3人産むためにはどうしたらいいか。最初の出産で、トラウマになるような難産になり、産むのが嫌になったら困るだろう。

そう考えて、妊娠する前から、民間団体がしている出産準備クラスに通って、出産についての情報を集めていた。その中で、医療に対して受け身で、「そういうもんだ」と身を任せて出産する女性が多いことに疑問を感じ、「自分はこういう出産がいいと、決めてからやろうと思っていました。」

 そして、第一子を妊娠。「自分と赤ちゃんの力で産みたい」と思い、入念な準備がはじまった。はじめての出産に向けていろいろ準備するHさんに、夫も全面的に協力してくれた。

 自然出産を推奨している助産院へ行き、そこで教わったことを実行した。食事をマクロビオティックにし、ゆっくりよく噛んで食べた。すると、体調がとても良くなり、体重が増えすぎることなく、身軽な妊婦であった。胎話(お腹の赤ちゃんと話すこと)も試みた。
 周囲の人から、出産がどんなものだったか聞いたりもして、安産にむけて、ありとあらゆることに取り組んだ。お腹の赤ちゃんが、女の子だとわかると、「娘に出産って素晴らしいんだよと伝えたい」という思いも加わり、満足のいくお産にするべく身体づくりと、心の準備にとりくんだ。

妊娠中に、当時生活していた都心から、Hさんの実家のある地方に転居した。

 実家の近くには助産院がなく、出産できる病院が一件あった。
その病院で出産することに決め、病院とバースプランの打ち合わせをした。会陰切開はしたくない、へその緒は拍動が止まってから切りたい、など。
 Hさんが特に希望したのは、野口整体の考えに基づいて、骨盤が閉まるまで、産後48時時間は、起き上がらないで過ごしたい、ということだ。
 この希望は、病院に1室だけある、分娩も入院もできる部屋にすることで、叶えることができた。丁寧に打ち合わせをしたおかげで、バースプランは、だいたいの希望を叶えてもらうことができた。

 40週6日、夜中の2時に入院し、朝の9時には無事に出産した。「すごい安産でした。」陣痛の間は、赤ちゃんがピンク色の花畑を通っているイメージをすると、痛みに耐えることができた。「それが、すごい効果的でした」。生まれた時には、号泣した。

 実母が陣痛から付き添いたいと言っていたが、本当に安心できる状態で出産したかったので、産むときは夫と二人だけと決めていた。

夫とのパートナーシップで、楽ちんな産後!

 長女を出産してから半年間、Hさん夫婦は、二人で休業して育児をしていた。

 妊娠中に、夫婦で、“出産と仕事についてのフォーラム”に行き、産後クライシスについて学んでいた。
 そのため、夫も、産後に夫婦のすれ違いが起こらないようにするのが、ポイントだと思っていたようだ。
また、両親学級に夫婦で参加していたので、出産と育児についての知識を、共有できていた。

 もともと夫は、子どもが特別に好きなわけではないが、Hさんのことを手伝い、感謝されるのが大好きだった。

 病院を退院してからも、赤ちゃんが穏やかで育てやすかったこと、夜中の授乳は、Hさんの母乳だけでなく、昼間に搾乳して冷凍していた母乳をつかって、夫もしていたことにより、ゆっくり眠ることができた。
産褥期を終えたら、Hさんは気晴らしに一人で買い物に行くこともできた。

 出産してから6か月後に、仕事を再開するまでの間、夫と二人で協力できたのは、「本当によかったです。」ただ、アクティブなHさんは、「退屈すぎて、それがしんどかったです」。
生後半年近くになると、娘とずっと一緒にいることに、「やっぱり息が詰まりますよね。何もすることがないのが嫌で嫌で。私には、これは無理だー」と思った。「だから、仕事を始めたら、仕事が楽しくて楽しくて」。

 Hさんは、日本では、育児はお母さんがすべてするのが当たりまえで、お母さんは「子どもがかわいければ幸せでしょ?」って、しんどいとも言わせてもらえない風潮があるように感じている。
「これは違うなって。私は、産むっていう一番すごい仕事をしたんだから、あとは他の人が育児を分担してやってよ」くらいの気持ちで、育児を夫や、保育園に任せることを少しずつ増やしていった。
最初は、育児を手放していくことに気が引けるとこもあった。しかし、Hさん自身がいいと思う方向に、舵を切っていった結果、夫も育児のスキルをあげて、子守りを頼めるようになった。

育児は、「ずーっと一緒に居るからしんどい。少し離れて、また子どもと会ったら、かわいくてしかたないでしょ?その効果を利用しない手はない」。

長男:助産院で、思い残すことのない満足な出産

 間をあけずに、第二子となる長男を妊娠した。その時、長女はイヤイヤ期で対応が大変だった。
忙しくて、病院で、入念なバースプランを打ち合わせする時間はさけなかったため、自宅からやや遠いが、助産院で出産することにした。

 助産院で産む決め手となったのは、助産師さんが、とても優しく、家庭的な雰囲気があったこと。「絶対ここで産もう」と思った。

 毎回の検診に1時間近くかけ、雑談も交えながら色々な話をした。「それもすごくよかったです」。

 今回の妊娠中は、前回ほど出産準備に手をかけることができなかった。妊娠中から骨が緩んでいたのか、「とにかく骨が痛くて、」ずっと何をするにも痛かった。

 39週2日の夜、長女を寝かしつけた後、Hさんは読書をして夜更かしをしていた。夜中の1時になり、寝ようと思った時に、陣痛がはじまった。「だから、二人目の出産は眠い、しかなかった」。

 助産院に到着すると、お産は順調に進んで、するっと出産した。
「もしこれが最後の出産になっても、心残りはないっていうくらい、すっごい満足のいく出産ができました」。陣痛中の、助産師さんのサポートが素晴らしかったし、長女の時と比べると、お産の痛みがとても少なかった。陣痛中に、「痛い」というと、助産師さんがあずきカイロを当てながら、「痛いなぁ」と一緒に言ってくれることに、救われる思いもした。「激痛の一番の山がいつ来るんだろうと思っているうちに、生まれました」。会陰が切れることもなかった。

 長男が生まれた時には、「妊娠中、なんにもしてあげなかったのに、よく生まれてきてくれたね、ありがとう。長女をお姉ちゃんにしてくれてありがとう」と、また号泣した。

 出産を終えた後、付き添ってくれた夫が「10か月間、おつかれさま」と言って頭をなでてくれた。出産だけでなく、妊娠中の苦労まで労ってくれてうれしかった。

 生まれた後、夫が長男のヘソの緒を切ってくれた。息子は、へその緒はパパが切るものと思っている(本当はレアケースなのに)。息子とは産後も離れることなくずーっと同じ部屋で過ごすことができ、Hさんもゆっくり休めて、長女を病院で産んだときに、いやだったことが何ひとつなかった。

 お産の展開が早すぎて唖然としていたが、産後に助産師さんと一緒に、お産のお振り返りをしたことで、頭の整理ができた。

 助産院で入院している間は、ひたすら寝た。カーテンを閉め切って、光を目に入れないようにして、食事をシャワー以外はずっと寝ていた。自宅から少し遠い助産院だったので、見舞い客もわずかで、十分に休むことができた。すると、産後の身体の回復も早く、自宅に戻るころには、体はどこも痛くなかった。

誕生学との出会い

 第二子を出産後、『誕生学』に出会った。
誕生学とは、“『誕生』を通して、子供に「自分自身の産まれてくる力」を伝え、生まれる力を再認識することで自尊感情を育むことを目的とした次世代育成のためのライフスキル教育*プログラム”である。(誕生学協会のホームページより引用。)

 Hさんは誕生学に感動して、当時4か月だった息子に、「何もできない存在だと思っていたけど、この子、こんなにすごかったの?」と思った。また、これを伝える人になりたいと思った。
Hさんは、誕生学の講師となり、地域の子どもと保護者に、「何ができるとか、できないじゃなくて、そもそも生まれてきたことがすごいんですよ」と伝えることを通して、自分を大事だと思ってほしいと活動している。
特に、Hさんは、誕生学を普及することで、性犯罪の予防につながることを願っている。

 さらに、子どもが命を落とす事故が起こらないような社会にするために、専門性を生かした活動もされている。Hさんは、母親になったことで、命をけずって産んだ子どもが、なんの理由もなく殺されることの、親の怒りや無念が、自分事として感じるようになった。「それを変えていかないのはおかしいでしょう。命より大事なものはない。」

Hさんは、現在のお仕事を、天職だと感じている。そして、子どもには、「お母さんは好きなことをするから、あなたたちも、お母さんのことは構わずに、好きに生きなさい」と伝えている。

「母としての生きづらさ、母として主体性を発揮することの難しさは、わかります。私は、子どもを助けたいんだけど、子どもにとってはお母さんが一番だから、お母さんを助けるのが一番なんですよね。お母さんをエンパワーして、力をとりもどしてほしい」。

【編集後記】

 女性が生きやすい、産みやすい、子どもを育てやすい、そんな社会を目指し、自分の想いを喜びながら伝えているHさん。お話されることの説得力が半端なく、一緒にいるだけでエネルギーを分けてもらえました。

 「100%、満足だったお産」を経験されていることに、私としては、「いいな~!うらやましい~!」と素直に思いました。そのためには、出産のために、身体も心も準備することの大切なのでしょう。

 多くの女性が、「望むお産」「満足のいくお産」を叶えられるといいなぁ。Hさんの体験が、参考になることを願います!

産後クライシスをのりこえる!夫婦づくりワークショップのご案内

さて、お産の体験を聞くのが大好きな、臨床心理士/公認心理師で、産前産後の女性専門のカウンセラー藤澤真莉が、

兵庫県西宮市にある、子育てサロン、『櫻扇(さくらおうぎ)』さんで開催します!
産後クライシスでお悩みの方、興味のある援助職の方、お待ちしています。

<概要>
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・場所:櫻扇(兵庫県西宮市神楽町11-20イースト夙川105号)
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・申し込み:お問い合わせフォームから、イベント名、氏名、電話番号をご記入のうえ、送信してください。
・お子様連れOK.集中して取り組みたい方は、お預けされることをおすすめします。

facebookのイベントページも、ご覧ください♪

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最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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