妊娠や出産したことを、自分の母親に報告したくないという女性がいます。
なぜそう思うのか尋ねると、
たぶん母親は、娘が妊娠し、孫ができる事をひとしきり周囲に自慢するのだが、
今の悪阻のしんどさを気遣ったり、育児をサポートしようという気はないだろうことが予想できるからだ、という理由。
そういう母親は、言わないと「なぜ言わないのか」と怒るでしょうが、
たいてい「私も仕事をしているから」とか、「持病のなんとかがしんどいから」と理由をつけて、
娘を支えることを拒むことも多いです。
こういう方は、子どもの時から自分の努力の成果を、母親に横取りされていた経験がたくさんあります。
子どもの時にもらった賞、大学に受かったこと、いい会社に就職したこと、結婚したこと…
自己愛的な母親は、自分が周囲から「いいわねえ、すごいわねぇ」と言われるために、娘の成果や達成をぶんどってしまうのです。
そういう母親は、自分が叶わなかった夢を娘に託していると同時に、
娘に嫉妬や羨望を持っており、娘の幸せを心から喜ぶことができません。
「あなたは優しい男性と結婚できていいじゃない、そのくらいで文句言うんじゃないわよ」と。
これは、一般的には『毒親』と呼ばれる親になるのでしょう。
ただ、衣食住はちゃんとしてくれたり、習い事に通わせる、学費はだしてくれてきたので、
娘であるたいていの女性は、「愛情がないわけではなかった」と表現します。
そして、世間的には「親を喜ばせる事が、親孝行だ」と言われているので、
親を喜ばせたくない自分のことを責めていたり、「言った方がいいのかな」と悩んでいたりします。
こんな自己愛的な毒親育ちの妊産婦さんへ。
あなたは、お母さんを喜ばせるために、自分を差しだす必要はありません。
あなたが、妊娠や出産の報告をしたくない気持ちは、当然のことです。
そのうえで、妊娠や出産の報告はしてもいいし、しなくてもいい。
あなたとお母さんの間に境界線(=心の線引き)ができてくると、
おのずと自分がどうしたいかの答えがでてくるでしょう。
妊娠・出産は、自分と母親の関係を見つめなおす契機になります。
色んな事情があるとは思いますが、あなたの心の作業が進むことを、心より応援しています!
妊娠・産後メンタル専門の心理カウンセラー
藤澤 真莉