アダルトチルドレン・毒親育ちの女性が、妊娠・出産・育児で感じる苦しさ
妊娠・出産・育児をする中で、
多くの女性は、『自分がどう育てられたか』、つまり、ご自身の育ちや、自分が育った家族や環境を振り返ります。
その中で、親に対する怒りを、何度も心の中で蒸し返して、苦しくなることがあります。
また、結婚し、子どもを持ったことで、
自分の実家は「普通じゃなかった、おかしかった」、不適切な関わりを受けていたのだと、初めて気づく方もいます。
いわゆる、『毒親育ち』や、アダルトチルドレンの方、『被虐ママ』と呼ばれる虐待サバイバーの方は、
育児をする中で様々な苦しい思いをします。
- 妊娠、出産を機に、親と絶縁したが、心にわだかまりがある。
- 子どもが泣くと、昔のつらい記憶がよみがえって、感情をコントロールできなくなる。
- 実の親といい関係が作れなかった私が、子どもとちゃんと関係を作れるのだろうか。
- 実家や、義理の実家と、どのような距離感でつきあったらいいのかわからない。
また、実家との折り合いが悪く、妊娠中や産後に身内からのサポートがないという、
育児をする上での実際的な困難もあります。
そのような方に知っていただきたいのは、基本的に育児の仕方は学習するものである、ということです。
多くの女性は、母親になったとき、
「自分がどう育てられたか」を、意識的・無意識的に参考にしながら、赤ちゃんと接します。
自分が子どもとして受けた親からの対応から、育児を学んでいます。
しかし、自分の育ちからの学習したことだけで、育児をしているわけではありません。
大人になってから、身近な育児をする様々な人の姿や、本や専門家から教えてもらったことも取り込んで、育児をしています。
その中から、「こんな風に子どもと接したいな」とか、「こんなお母さんになりたいな」と、
理想や夢を描かれることでしょう。
そして、育ちの中での心の傷がある方には、
理想が高すぎて、現実のできない自分に落ち込む、自分を責めることがよくあります。
理想の母親像と現実のダメダメな自分のはざまで、ゆらげること
そんなあなたは、育児とはどんなものか、親とは何か、学び直している最中なのでしょう。
高すぎる理想的な母親像をもちながら、そうできない自分であること、過去のつらかった自分の気持ちを感じること、目の前にいる子どもと向かい合うのは、とても苦しい。
そのようなアダルトチルドレン、毒親育ち、被虐ママさんたちに伝えたいのは、
あなたが不適切な養育を受けてきたからと言って、
「私は母親になってはいけない」とか、「母親になる資格がない」と、思うことはありません。
100%良い母親も、100%ダメな母親も、現実には存在しません。
1~99%の等身大の自分が、ゆらぎながら母親をして、それでいいのです。
どんなお母さんも、そんなもんです。
インナーチャイルドさんにはケアを、厳しすぎる自分さんには引退勧告を
そして、あなたが育ちの中で受けた心の傷や、誰にも気づいてもらえなかった気持ちがあるのであれば、
それはちゃんとケアされている方が望ましいでしょう。
あなたの中にいる、子どもの時のあなた(=インナーチャイルド)が、今も独りで泣いたり怒ったりしていませんか?
もしそうであれば、大人になったあなたと、カウンセラーである私が、一緒にインナーチャイルドに会いにゆき、その声を受け止めましょう。
寂しかったね、つらかったね。がんばったね。ごめんね。
そう声をかけて、一緒に泣きましょう。
そのように、インナーチャイルドを受け止めて、あなたの一部として大切にしていくことが、あなたの現実のお子さんの、生の感情、喜怒哀楽を受け止める心の器を作ることにつながります。
人間には、『レジリエンス』という、心の回復力が備わっています。
つらく苦しい経験からも、あなたの親としての素晴らしい資質が芽吹き、育てることができます。
そして、「私はどうしたいか」「私はどんな家族を作りたいか」を大切にし、自分軸で生きる姿をお子様に見せることは、お子様に対する最高のギフトになります。
ただ、インナーチャイルドのケアをする中で、高い理想をもち、自分に対して厳しく、批判的な声が、邪魔をしてくるかもしれません。
- なまけたら、ダメ人間になるよ!
- あなたは人の倍努力して、やっと人並みなんだよ!
- 自分のために、お金や時間を使うなんて、ひどい母親!
- 完璧にお母さんをやらなくちゃ、子どもにおんなじ思いをさせるよ!
- 周りのお母さんはもっと努力している!なんで普通のことができないの!
こんな声を自分に投げつける、「厳しすぎる自分」さんがいませんか?
この、「厳しすぎる自分」さんは、これまでの人生で、
すんごくがんばって、あなたのことを守ってくれていたんだと思います。
あなたが社会から転げおちないように。
自分の親のようにならないように。
人並みであるように。
嫌われないように。
これ以上傷つくことから、自分を守るために。
そんな「厳しすぎる自分」さんには、
「今まで、守ってくれてありがとう。でも、もうあなたの声はいらないの。」
と、感謝を伝えて、丁重に引退勧告を出し、あなたの日々の第一線から退いていただきましょう。
最初は、ザワザワして不安を感じると思います。
同時に、安心を感じる練習、力を抜いてみる練習だと思って、
身体のここちよさ、息がしやすい感じ、「あぁかわいい」と純粋に子どもをいとおしく思える瞬間を、
大事につかまえていきましょう。
その先には、外の世界の光のまぶしさ、軽やかさ、自分が自分であることの喜びが訪れると思います。
そうなったら、カウンセリングはもう卒業です☆
あなたの心の癒しと成長のプロセスを、カウンセリングで丁寧に応援させてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
<ふじさわマターナルカウンセリングルーム>
臨床心理士・公認心理師
藤澤 真莉