中絶をした後の心のご相談
中絶をした後、カウンセリングを求める方に、よくあるご相談は、このような内容です。
・気持ちのコントロールができない。
・睡眠や食事がとれない。気分が落ち込む。
・中絶をしたことを、本当に良かったのかと悩み、自分を責める。
・誰にも苦しい気持ちを言えない。
私は、『中絶は女性の権利』という立場から、中絶を選択した女性の意思決定を、尊重しています。
世の中には、中絶すること自体、また中絶を選んだ方を、批判する声があります。それに対しては、私は明確に反対しますし、その声により女性が傷つくことから守りたいと思っています。
中絶をした後、ネットサーフィンして、中絶をひどいことだとする意見や書き込みを見てしまう、そのたびに、自分を責めてしまう、という方。
今の日本にある、“中絶を悪いことだ”とする認識や、中絶をするための社会の仕組みは、
世界のスタンダートからしたら、何周も遅れていることを知ってください。
日本人の女性は、『性と生殖に関する権利』から、疎外されているのです。
だから、どうか外側にある批判的な声を、あなたの内側に持ち込まないでください。
中絶に批判的な声を、“内在化”=自分の内側に取り込むことで、苦しんでいる方がとても多いように思います。
そして、中絶にいたるまでの背景は、とても個別性が高く、その中で、何を感じどう思ったのかは、単純なストーリーでは言い表せない複雑な体験です。
カウンセリングでは、まずはあなたが話す準備ができていることを、丁寧にお聴きします。
私の関心は、あなたはどう思っていたのか、どんな状況におかれていたのか、です。あなたの選択が良かったのか悪かったのかを、ジャッジすることではありません。
そして、自分以外の誰かに、自分のストーリーを話すことで、体験が整理されていくことと思います。
また、時間が経ったからこそ、過去の自分の弱かったところや、未熟だったところ、甘かったところ、後悔しているところが、わかるということもあります。
そこを直視すると、一人では抱えきれないくらいに、心が痛いことでしょう。
自己嫌悪でいっぱいになり、自分が恥ずかしく思えるかもしれません。
でも、過去のあなたは、その時の精一杯を生きていたのではないでしょうか。
過去の自分を、フェアに見てあげてほしいのです。
カウンセリングを終えた時、
私が選んだことは、私の人生に必要なことだった。
過去の自分のことを、慈しみをもって大切に思える。
そんな風に感じていただけていたらいいなと、思っています。
そのために必要な時間と、関わり、言葉、考え方を、カウンセリングで提供したいと思っています。
臨床心理士・公認心理師
産前産後の女性専門の心理カウンセラー/ふじさわマターナルカウンセリングルーム代表
藤澤 真莉