中絶をした女性のココロのケア、個別カウンセリング@さくま診療所

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中絶をした女性のココロー悩みとケアー

日本では、平成30年において、約16万件の人工妊娠中絶が報告されていて、女性の6.4%が中絶を経験しています(厚生労働省 平成30年度衛生行政報告例)。

日本家族計画協会(『男女の生活と意識に関する調査』2002~2016)によると、中絶をする理由として、一番多いものは経済的な理由。次いで、相手と結婚していない、相手が出産に同意をしなかった、自分の学業や仕事を中断したくない、などの理由があります。

中絶をした後、女性は、ほっとした、人生に必要な選択をした、赤ちゃんに申し訳ないことをした、ひどいことをしてしまった、パートナーに対する怒りなど、複雑な思いを抱きます。

その複雑な思いが、精神的な健康や、日常の気分、生活に、どの程度影響するのかは、人によってさまざまでしょう。

中絶をした後に、苦しさ、辛さを感じている人が、思いを吐き出せたり、心のケアを求められる場所は、非常に少ないです。

矛盾があって当然。どんな気持ちも感じていい。

 私自身、中絶をされた方へのカウンセリングを始めた時、「私は中絶についてどう思うのか」を、考える必要がありました。

最初のころ、私には、以下の2極の考えがシーソーのように、ユラユラするのでした。

・中絶をすることは女性の権利であり、その選択をしたことで、女性が周囲から批判を受けるようなことはあってほしくない。
そんな攻撃からは、怒りをもって立ち向かいたい。女性自身の選択権を優先する、<プロチョイス>の考えです。

・でも、「女性の権利だ!」と声高に言うことで、中絶した経験のココロの痛みを、無視したり、軽視したりすることには、違和感を感じる。赤ちゃんへの思いがあってほしい。つまりは、胎児の生きる権利を重視する、<プロライフ>の考えです。

この二つの思いで、悩んでいました。

そこから、自分の考えと思いを整理していきました。

まずは、私の混乱の原因は、「権利」という次元と、「女性の心理的世界、内的世界」という次元が、ごちゃごちゃになっていた、カテゴリーエラーをしていたことがわかりました。

「権利」という次元では、私自身は、「中絶は女性の権利である」という考えを支持しています。

そして、「心理的世界、内的世界」の次元では、心の中に、すでに登場した”命、赤ちゃん”の存在(そして、実際に身体的にも存在する)は、大切にしたい。

この、「権利」と、「内的世界」の次元が切り分けられたことで、「認知」と「感情」の不一致、矛盾があることを、まったく違和感なく受け入れることができるようになりました。

だから、自分で決めたことなのに、どうにも辛いことに、戸惑いを感じている方に、

私は、「必要なことだったと思う、でも、悲しいし、つらいという気持ちが同居するのは、何もおかしくありません。それは苦しい状態だけど、心がつらいと感じるのは、全く当然のことだと、私は思います。」とお伝えします。

他者に、(そして、一応、臨床心理士である専門家に)正常であると言ってもらうと、安心することができるようです。

『妊娠し、中絶した』という体験の中で、感じたどんな気持ちも、否定せずに、ジャッジせずに、言葉にしてみてほしいと思います。
私たちは、社会の色々な声や価値観を内在化しているだけに、矛盾があって当然です。

矛盾や葛藤とどう向き合うのか、そこに正解はなく、自分が感じたことがすべてだと思います。葛藤、矛盾、辛さの解消をめざさずに、過ごしていくことだって、ありだと思います。

このようなプロセスに、カウンセラーとして寄り添うことで、心の回復に役立てばよいなと思います。

さくま診療所での個別カウンセリング:3月のお知らせ

毎月一回、大阪市のさくま診療所で開催している、個別カウンセリングのお知らせです。

<概要>
日時:2021年2月20日(土)
①10:00~10:50、②11:00~11:50、③12:00~12:50 の3つの枠があります。
予約メールで、ご希望の時間をお知らせください。

料金:2500円

場所:さくま診療所3階(診療所とは別の階、お部屋になります。お申込みの方に、お部屋までの案内を詳しくお伝えします。)

お申込み:お問合せフォームより、件名を「さくま診療所カウンセリング希望」として、氏名、電話番号、ご希望の時間を記入して、送信してください。

対象:中絶経験のある女性(さくま診療所の患者様はもちろん、他院で処置された方もお受けします。)

守秘義務について:カウンセリングでお話いただいた内容は、守秘いたします。佐久間院長とは、情報共有いたしますので、ご了承ください。しかし、院外の第3者に情報がもれることはありませんので、ご安心ください。

会場である、さくま診療所の院長・佐久間航先生は、患者様とのコミュニケーションを大切にしている温かい先生です。

佐久間先生の、中絶をした女性の心と身体をサポートしたいという思いから、このカウンセリングを実施しています。

<カウンセラー>
藤澤真莉
臨床心理士・公認心理師。
ふじさわマターナルカウンセリングルーム代表。
自分らしく生きる女性が増えることを願い、大阪市で女性の主体づくり、”私づくり”を応援する心理カウンセリングをしています。

<開催場所>
医療法人 大生會 さくま診療所

〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋1-14-14 TKビル2階

電話 06-6241-5814
FAX 06-6241-5824
web https://www.sakumaclinic.com
mail kohsakuma@sakumaclinic.com

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