産後クライシスは予防できるのか?夫婦の発達課題としての産後クライシス

産後クライシスは、予防できるのでしょうか!?今回は、妊娠期からの産後クライシスの予防プログラムを開発し、その効果を検証した先行研究の結果をご紹介し、産後クライシスは予防するもの、回避すべきものではなく、夫婦が次のステージに移行するための課題だ、ということをお伝えします。

”産後クライシス”は、市民権を得てきたけど

『産後に、夫婦の愛情が急激にさめる現象』である、産後クライシス。

『産後クライシス』という言葉は、2012年にNHKの朝の情報番組から生まれました。

ここ10年で、だいぶん市民権を得ています。

日本では、90年代から、父親の立ち合い分娩が増加したことから、行政や分娩をする医療施設で両親学級や、両親教室が実施されるようになりました。

その中で、お父さんの意識を高めるプログラムや、育児の実技の指導とともに、産後クライシスについても伝えているところが増えています。

そこで、保健師さんや助産師さんが、産後クライシスについて学び、どうしたら夫婦が協力しながら親になり、楽しく育児をスタートできるのかと、知恵を絞っておられます。

そして、
『産後クライシスで下手をこいたら、その後ずっと俺の株は下がったままらしい…。嫁のため、子どものためにも、できることを知っておこう』
と、戦々恐々としながらも、真剣に学ぼうという新人パパも多いのではないでしょうか。

ここで一つ、疑問が浮かびます。

産後クライシスを、予防することは可能なのでしょうか?

ネットで検索したら、産後クライシスを予防するためにできることとして、色んな情報が出てきますが、その信憑性はどうなんだろう。多くは個人の経験レベルの話が多いんじゃないかと思います。

産後クライシス

産後クライシスの予防プログラムの実証的研究

このクエスチョンについて考えるために調べてみて、面白いと思った先行研究をご紹介します。

それがこちらです。

『妊娠期の初産夫婦に対する産後クライシス予防プログラムの開発と有効性』
塩野悦子, 大久保功子, 山田嘉明  宮城大学研究ジャーナル 2021 年 1 巻 1 号 pp.031-041

https://myu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=712&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
031-041_1-1-16-塩野.pdf

こちらの研究では、産後クライシス予防方法を理解できる予期的支援プログラムを開発し,その有用性を検討しています。

初産婦とその夫を対象に、産後クライシス予防プログラムを受けてもらう群(介入群)と、受けない群(対照群)に分けます。

介入群には、プログラムの実施の前後(妊娠期と産後3か月)で 夫婦関係満足尺度や、夫婦間の愛情尺度の質問紙に答えてもらい、

同じ時期に回答してもらった対照群と比較しています。

その結果、介入群と対照群で、夫婦関係の満足度や、夫婦間の愛情尺度の変化に、有意差はない

つまり、介入の効果は実証されなかったということでした。

う~ん!そうなのか!(TT)

しかし、介入群の8~9割の人が、このプログラムのことを覚えていて役に立ったと、答えています。

予防にはならなかったけど、夫婦でケンカしそうになった時に、学んだことを思い出して役に立ったというのです。

そして、この論文の中では、この結果について、
「本研究において設定した評価指標において 2 群間で有意差が見られなかったのは,家族が発達していく上で,誰もが直面する発達危
機の現象の範囲とも言える」とありました。

産後クライシスは、夫婦の発達課題です

本当に、そうだと思う~。

産後クライシスは、夫婦の発達課題で、
夫婦関係が次のステージに以降し、成長していくための成長痛みたいなもので、なかったらいいってわけじゃないと、

個人的には思うのです。

大事なのは、夫婦の溝に直面したときに、それを回避するのではなく、

私たちに何が起こっていて、どう対処したらいいのかがわかって、
めちゃくちゃ夫婦関係が悪化することを防げるとか、
夫婦関係の次のステージに移行できることが大事じゃないかと。

この記事を読んで、産後クライシスに悩んでいる方に、言いたい。

産後クライシスは、夫婦関係が進化し、信頼や愛情、パートナーシップを深めるためのスタートラインに立ったようなもの!
産後クライシスを迎えるくらいまで、ご夫婦のプロセスが進んだのです。

次の記事で、夫婦のライフサイクル論から見る発達段階説について、書いてみたいと思います。(お楽しみに!)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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藤澤 真莉(臨床心理士・公認心理師)

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