子育てのイライラ!怒りの仮面の裏側は?
子育てのイライラ
こんにちは、大阪で産前・産後の女性専門の心理カウンセリングをしています、臨床心理士・藤澤真莉です。
子育て中のみなさま、イライラしますかー?
そりゃ、イライラしますよね!
夫や子どもに怒鳴り上げてしまい、しばらしてから反省するも、また同じことを繰り返してしまう。
子どもの寝顔をみて、「ごめんね…」と涙したり。
私自身も、怒ったり、泣いたり、笑ったりしながら子育て進行中です。
完璧じゃなくていいけど、もうちょっとイライラすることを減らしたい!同じループから抜け出したい!
そんなふうに思っている方へ、ループから抜け出すヒントを、ご紹介します。
虐待する親へのケア・プログラムから学ぶ
先日、一般社団法人MY TREEペアレンツプログラム様の、『第三回全国フォーラム』というのに、参加してきました。
「MY TREE ペアレンツプログラム」とは、虐待をするにいたった親のための、回復プログラムです。
このプログラムは、良い親になるためのトレーニングではなく、育児スキルを教える養育支援でもありません。
「子ども虐待とは、これまで人として尊重されなかった痛みや悲しみを怒りの形で子どもに爆発させている行動」
として、
虐待するにいたった親の、身体、感情、認知、魂、すべてに働きかけ、その方の全体性を回復して、エンパワーメントするためのグループ・プログラムです。
私は、虐待のサバイバー、つまり幼少期に虐待を受けてきて親になった方と、カウンセリングすることがあります。
その方たちへの関りについて学んでいる中で、「MY TREE ペアレンツプログラム」のことを知りました。
(この本から、知りました!これは支援者の方におススメの本。『母親の孤独から回復する 虐待のグループワーク実践に学ぶ』(講談社選書メチエ)著 村上靖彦)
全国フォーラムに参加し、プログラムの開発者である森田ゆりさんのご講演をきくことができました。
私が、とてもいいなぁと思ったのは、虐待する親のことを、「悪者」「加害者」「母親として足りない人」「病理のある人」と見るのではない視点です。
「だれもが生きている価値がある」
という人権観のもと、虐待するにいたった人が、これまで社会や他者に尊重されてこなかった心の痛み、悲しみを、グループの力で支え、自分で問題に取り組むことができる力を引き出す=エンパワーメントすることを、目的とされています。
講演を聞いて、また森田さんの著書(『虐待・親にもケアを 生きる力をとりもどすMY TREEプログラム』)を読んで、
プログラムの内容は、虐待はしていなくても、子育てに、また生きることに、つらさやしんどさを抱える女性なら誰にでも、役に立つことがたくさんあると思いました。
その中でも、一番印象に残ったのが、「怒りの仮面」です。
怒りの仮面
怒りの感情には、2種類あります。
一つは、健康的な怒り。嫌な亊、失礼なことをされた時、また不正を許せない、という誰でも感じる怒りです。
これは、1次的感情としての怒り。
もう一つは、自分や他者への暴力へとつながる怒りです。
これは、怒りの背景に、悲しみ、怒り、怖れ、不安、見捨てられ不安、絶望などの感情があります。
2次的感情としての怒りで、「怒り」はいわば、背景にあるこれらの感情の仮面です。
ドメスティック・バイオレンスで、配偶者に暴力をふるう時の怒り、思い通りにならない子どもに手をあげる時の怒りは、仮面である、と森田さんは言います。
子どもが言うことを聞かないとき。子どもから、怒りではなく、本当は奥にある感情を刺激される。
その奥にある気持ちこそが、暴力や虐待の元凶である、という心理構造です。
怒りの仮面の裏側にある感情と向き合うことは、とてもつらいことです。
怒りの仮面の下にある、痛みや悲しみ、喪失感、絶望感は、他者から尊重され、共感されたことがないため、
自分自身でも、その感情を言葉にしたり、あることを自覚することが難しい。
子どもに理不尽に怒る時は、自分が疲れて、自分とも子どもとも向き合う気力がなくて、
でも、どうにかしたくて、とりあえず子どもの要求や泣き声から逃げたいって時ではありませんか?
そういう時は、怒りの仮面をかぶり、子どもを感情のはけ口にしてしまいます。
怒りの仮面の下にある感情に気づき、語り、涙することができた時、変化がおきる。
今まで、脊髄反射的に、手が出しまう、暴言を吐いてしまっていた方が、このプログラム中に大きな成長、変化をしておられるようです。
怒りの仮面の裏側を、抱える
MY TREEプログラムがすごい点は、怒りの仮面の裏側に、自分で気づいていくことを、
グループ全体でサポートしている点です。
グループの安全性を確保するため、特殊なルールがあります。
実名も住所も明かさずニックネームで呼び合う、連絡先の交換もしない。
グループ以外の場所で出会っても、会釈以上の関りをしない、などです。
プライベートでは関りの無い仲間だからこそ、プログラムの時間中に、自分の過去や、苦しい現状について話すことができる。
そして、グループの仲間に、仮面の下に隠していた気持ちを、抱えてもらう経験が、とても大切な要素だそうです。
全体性の尊重
私が、産前・産後の女性の心のサポートをするにあたって、
保健所とか、子育て支援センターとか、病院とか、「子育て支援をしているどこか」に属するのではなく、開業を選んだ理由の一つが、
その女性の全体性を大事にして、関わりたい、と思ったからです。
母親として、妻として、嫁として、娘として、職業人として、
などなど、分断されたアイデンティティのどこかをサポートしたり査定するのではなくて、
「この私で生きるんだ、この私が好きだ」という感覚を大事にする、ホリスティックな存在としてのクライアントさんと会いたい、と思ったからです。
私が、MY TREEプログラムに魅かれたのは、その点で、同じだったからだと思います。
今回の記事としては、
・自分で抑えられないイライラ、怒りは、仮面。その裏に、大事にされるべき感情がある。
・仮面の裏側にある感情を、安心して抱えてもらうことができる人に、話すことが、気づきを促す。
・あなたは、大切な人です。
といったところが、伝えたいことです。
MY TREEプログラムのこと、もっと学びたい。まだまだ、吸収できるエッセンスがありそう。
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