産後クライシス
産後クライシスとは何か?原因は?対処法は?
このページでは、産後クライシスについて、家族療法や家族社会学に基づいて、
産前・産後の専門カウンセラー/臨床心理士・藤澤真莉が、産後クライシスのご相談に乗ってきた経験から、ご紹介します。
産後クライシスとは?
「子どもが生まれてから、夫にイライラする!」
「全然助けてくれない!手伝ってくれない!」
「そういえば、最近夫婦でまともに会話していない・・・」
こんな悩みはありませんか?
産後クライシスとは、「産後に急速に夫婦の愛情が冷める現象」のことを言います。
2014年に、NHKの『あさイチ』という番組のディレクターさんがこの言葉を作りました。番組の中で、産後クライシスについての特集を放送したことろ、とても反響が大きかったそうです。
さて、赤ちゃんが生まれることは、この上ない喜びである一方で、夫婦の関係にとっては正念場でもあります。
夫婦で二人だけだった関係が一度終わり、親という新しい役割を含めた、新しい関係を、夫と妻で結びなおす必要があるからです。
心理学のある研究では、産後に約7割の夫婦が、関係が悪くなるとあります。
なぜ、こんなに多くの夫婦が、関係の危機を迎えるのでしょうか。
産後クライシスの背景
産後クライシスの背景は、マクロ(国)レベル、メゾ(地域)レベル、ミクロ(個々の家庭)レベルの多層的な要因があります。
- 高度経済成長がはじまる前からの、日本の経済政策と家族構造日本は、戦後から社会の復興のための経済政策をとりました。それは、「男を馬車馬のように働かせて、女は家で家事、育児をさせる」というものでした。これが、経済効率がもっともよい、国造りだったのです。
そのおかげで、日本は見事に経済宅国、先進国になることができました。しかし、この経済政策と家族構造は、「個人としての幸せな生き方」とか、「持続可能な核家族の在り方」という視点がありませんでした。『24時間働けますか』と、家族の時間と健康を犠牲にしてきました。今でも、日本の男性の育休取得率は、先進諸外国とくらべて大変低く、休暇をとれば昇進をあきらめることにつながりかねない状況があります。 - 地域のつながりの希薄化核家族化がすすみ、家族のあり方、個人としての生き方の多様性が認められてきたなか、「地域」という単位でのつながりは、希薄になりました。都会のマンションでは、「お隣さんは、何をしている人なのか知らない」のは当たり前。近所に、同年代の子どもがいても、一方が働いていて、他方が専業主婦なら、顔を合わせることも少ない。
しかし、人間という動物は、本来集団で子育てをしており、地域や社会の中でするものです。
産後のママが、「行く場所がなくて、赤ちゃんと二人っきりで家にこもっている」状況は、これまでの人類の歴史にはありませんでした。
そうなると、ママがパパに頼る比重が大きくなります。
物理的・身体的なサポートも、精神的なサポートも、夫しか頼れる存在がなく、これも産後クライシスを助長する要因です。 - 「いい夫婦」の作り方、なり方を知らない!そうなる教わらない!
産後の女性の心と身体を、男性が知らない!夫婦として長続きし、お互いに豊かな人生を送るには、いくつかのポイントがあります。
しかし、そのようなポイントを、多くの人は教わる機会がありません。
夫も妻も、「夫婦って、家族って、こういうものだ」というイメージを、自分が育ってきた家庭から、または世間的に理想とされている家族像(保険会社や洗濯洗剤のCMのようなキラキラした家族・・・)から作ります。
夫と妻で、そのイメージをすり合わせたり、さらに共通する価値観、大事にしたいことを、抽出することは、とても大事なコミュニケーションです。
そのコミュニケーションには、「自分と相手の違いを認める」「自分の思いを明確に伝える」、などコツがあります。
しかし、そのコミュニケーションの重要性や、コツを知らない人が、非情に多いのです。また、産後に起こる、女性の心とからだの変化について、男性が知らなさすぎる。赤ちゃんの沐浴の仕方については学べても、産後の女性の身体と心については、学ぶ機会がないのです。
まずは、男性にはこの点について、知っていただきたいなぁと思います。
だから、産前・産後に夫婦づくり!
このような日本の、社会の状況があるために、産後クライシスは社会現象となっています。これは、少子化の問題と、根っこを同じくする現象だと、私は考えています。
そして・・・
産後クライシスは、予防できます!解決できます!
夫妻で、「なりたい夫婦に」なりませんか。
私は、家族療法や家族社会学といった知識をもとにして、「夫婦づくり」「家族づくり」についてお伝えしています。
「夫婦としての努力」とはなんでしょうか。
夫「俺は仕事さえがんばっていれば、いい家族になれるだろう。」
妻「私は、家事・育児さえちゃんとやっていれば、いい家族になれるだろう。」
これは、間違いです。
これは、夫も妻も、私=”I”の努力であり、私たち=”We”の努力ではないのです!
産前から、「私たち、We」として、何に、どんなふうに取り組めばよいのか知っていると、産後のつらさは驚くほど軽くなります。
また、クライシス中であっても、夫婦づくりは始めることができます。
お客様の声
集団形式の講座と、フォローアップ・カウンセリングを受けていただいた、一児のママからのご感想です。
「産後クライシスのワークショップに参加させていただき、より個人的に相談させていただきたいと思い、カウンセリングを受けさせていただきました。
出産後の夫婦関係に悩み、藤澤さんにお話しをさせていただくと、
私の中の悩みや不満が細分化され、相手に何を求めたいのか、それをどのように伝えるべきか、など原因が明確になりました。
カウンセリングをきっかけに、夫婦会議をし、夫とそれぞれの考えをケンカしないで話し合えたのは、藤澤さんのアドバイスがあったからこそだと思います。
建設的な話し合いができたおかげで、夫婦関係を改善することができました。
今後、また喧嘩するかもしれませんが、その亊を楽しみにして、夫婦で壁を乗り越えていきたいと思います。」